本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

ピアノをめぐる冒険

 こんにちは。

 みなさんは、秋と言えば何を思い浮かべますか?読書の秋ももちろんいいですが、秋と言えば芸術の秋ですね。たまには優雅なピアノの演奏に耳を傾けたくなります。

 というわけで、9月は『ピアノ』をテーマに本を読んできました。

 

f:id:itsutsuba968:20220409214319j:plain

 

♪ 曲目

1曲目.『蜜蜂と遠雷』紹介 - 本をめぐる冒険

 ピアノコンクールという美しくも厳しい世界に真っ向から挑んだ大作。本当に長いコンクールを見届けた気になれる。

 

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

2曲目.『祝祭と予感』紹介 - 本をめぐる冒険

 上記のスピンオフ作品。本編では描かれなかった部分を補う、ピアノシーンの少ないピアノ小説。

 

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

3曲目.『羊と鋼の森』紹介 - 本をめぐる冒険

 ただの高校生だった主人公が調律に魅せられ、調律師として成長していく物語。美しい表現が印象深いです。

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

4曲目.『さよならドビュッシー』紹介 - 本をめぐる冒険

 悔しい、の一言です。

 

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

5曲目.『調律師』紹介 - 本をめぐる冒険

 こちらも調律師が主人公。ピアノに景色を見るという表現は多いですが、本作は音に匂いを感じるという珍しい作品です。

 

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

6曲目.『幻想即興曲』紹介 - 本をめぐる冒険

 タイトル通り、ショパンの有名な曲がキーになってくるミステリー。昭和レトロな雰囲気も楽しめます。

 

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

7曲目.『ルーシー変奏曲』 - 本をめぐる冒険

 一度はピアノを捨てた少女が自分のピアノを取り戻していく児童小説。大人の卑怯さに負けるな!

 

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

8曲目.『ピアニストを撃て』紹介 - 本をめぐる冒険

 場末の酒場にいるピアニストに、持ち込まれるトラブル。大人の渋いミステリーです。

 

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

9曲目.『革命前夜』紹介 - 本をめぐる冒険

 冷戦末期のドイツに留学した主人公がスランプや革命騒動に巻き込まれていきます。

 

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

10曲目.『戦場のピアニスト』紹介 - 本をめぐる冒険

 第二次世界大戦を生き延びたユダヤ人ピアニストの手記。戦時中の悲惨で生々しい雰囲気と、映画のような美しいラストシーンが見事。

 

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

11曲目.『いちご同盟』紹介 - 本をめぐる冒険

 ピアニストを目指す少年、野球部のエース、重病を患う女の子が切ない三角関係を繰り広げます。

 

itsutsuba968.hatenadiary.com

 

 

♪ 本の間奏

 ピアノ小説はたくさんあったのですが、今月は時間がなかったりうまく感想をまとめられなかったりで、あまり読めなかったのが心残りです。

 先月の数学者はどの作品においてもなんとなく共通点がありましたが、今月登場したピアニストたちは共通点が見当たらないくらい非常に個性豊かでした。自分の腕に絶対の自信を持つ者、一度はピアノの世界から身を引いた者、純粋に楽しく弾く者など様々です。これはピアニストが学者ではなく芸術家だからなのでしょうか。彼らはもっぱら自分自身のために演奏しているのですが、聴いた人々まで彼らの世界に引き込んでいきます。ピアノや音楽は個性や感情といった内面のことまで伝えてしまうというのが不思議で面白いですね。

 強いて共通の要素をあげるなら、ピアニストの世界は厳しいものであることは、どの小説にも書かれていました。ピアノ教室といえば子供の習い事の定番ですが、その中でプロのピアニストとして食べていけるのはほんの一握りしかいません。普通の若者らしさを諦め、厳しい練習と激しい競争を勝ち抜いた者だけが栄誉を手にすることができるのです。ピアニストを目指す彼らの苦悩は小説として格好のテーマとなりますし、彼らが葛藤の末に自分のピアノを見つけたときは読んでいる側も嬉しさを共感できました。『蜜蜂と遠雷』はピアノコンクールの世界を濃密に描いており、本当にコンクールを見ていると錯覚してしまうほど、読者をピアノの世界に引き込んでくれます。面白いと読んでいて「疲れてしまう」というのは新しい発見でした。映画化もされているみたいなので、そちらも観てみたいと思いました。

 今回はどれも個性があって一番を選ぶのが難しいですが、最もインパクトがあったのは?と訊かれたら、それは間違いなく『さよなら、ドビュッシー』と答えられます。読み終えた瞬間、がっくりと崩れ落ちそうになりました。ここまで「してやられた感」のあるミステリーは久しぶりでした。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。