本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

金田一耕助シリーズのまとめ

 こんにちは。

 唐突ですが、私はこれまで金田一耕助シリーズを読んだことがありませんでした。金田一と言えば、人が何人も死んだり、猟奇的な殺人事件があったりと、ホラー的な要素もあることで有名ですね。最近暑くなってきたこともあり、ふと読みたくなりました。

 さて、今回は横溝正史さんの金田一耕助シリーズを紹介します。

 

 

〇事件

File1.『八つ墓村』紹介 - 本をめぐる冒険

 本作には、不気味な伝承、残虐な大量殺人、閉鎖的な村など、おどろおどろしい要素がたくさんあります。

 

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File2.『本陣殺人事件』紹介 - 本をめぐる冒険

 金田一耕助シリーズ第1作目であり、かなりガチガチの本格推理小説となっています。

 

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File3.『獄門島』紹介 - 本をめぐる冒険

 本作は、閉鎖的な島で起こる猟奇的な殺人事件といういつもの設定と、しっかりとした本格推理要素とが、絶妙なバランスでかみ合っています。個人的に一番おすすめです。

 

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File4.『悪魔が来りて笛を吹く』紹介 - 本をめぐる冒険

 本作は、現実に発生した帝銀事件を下敷きにしており、旧華族の間で起きる不気味な殺人事件へと繋がっていきます。特に最後のオチが秀逸でした。

 

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File5.『犬神家の一族』紹介 - 本をめぐる冒険

 本作では、遺産をめぐるドロドロの争いが連続殺人事件に発展していきます。マスク姿のスケキヨや、湖から逆さまに飛び出した脚など、有名で印象的なシーンが多かったです。

 

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File6.

 To be continued.

 

 

〇感想

 今回は、金田一耕助シリーズをとりあえず有名な初期作品から順に読んでみました。

 まず感じたのは、このシリーズの醍醐味とも言える独特の雰囲気でした。終戦直後という時代背景、閉鎖的な村、遺産をめぐる争い、なぜか毎回登場する美女と不気味な怪人物、そして猟奇的な連続殺人。ほとんどお約束といっていいくらい、暗くおぞましい雰囲気の中で次々と人が死んでいくのですが、なぜかまた読みたくなる不思議な魅力がありました。次はどうなるんだろう、今度はどんな舞台なんだろう、と続きが気になる展開も多かったです。文章も適度に古臭さがありますが、むしろ金田一の世界観に入っていける理由の一つとも言えそうです。

 また、本格推理小説としても読みごたえがあって面白かったです。恐ろしい描写の中にも伏線が張ってあり、最後には綺麗に回収されていきます。全体的に納得度が高いものが多く、王道ミステリーとしての完成度もかなり高かったです。ホラーや猟奇殺人が出てくるからといって敬遠してしまうのは、ちょっともったいない気がします。今回読んだ中だと、個人的には『門島』がおすすめです。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。

『犬神家の一族』紹介

 こんにちは。

 唐突ですが、私はこれまで金田一耕助シリーズを読んだことがありませんでした。金田一と言えば、人が何人も死んだり、猟奇的な殺人事件があったりと、ホラー的な要素もあることで有名ですね。最近暑くなってきたこともあり、ふと読みたくなりました。

 さて、今回は横溝正史さんの『犬神家の一族』を紹介します。

 

 

〇あらすじ

 日本の生糸王と呼ばれた犬神佐兵衛が亡くなった。犬神家には、生母の異なる3人の娘たち、それぞれの旦那、その子供たちが残された。発表が予定されている彼の遺言状は、一族に騒動をもたらすものであるという。不安を感じた顧問弁護士から依頼を受けた金田一耕助だったが、彼と会う前に依頼人が殺されてしまうのだった。

 

 

〇登場人物

・犬神佐兵衛・・・犬神財閥の創始者

・松子   ・・・佐兵衛の長女。夫は死亡。

佐清   ・・・松子の子。復員兵。仮面をかぶる。

・竹子   ・・・佐兵衛の次女。

・寅之助  ・・・竹子の夫。大柄で横柄。

・佐武   ・・・竹子の息子。衝立のような身体つきで尊大。

・小夜子  ・・・竹子の娘。険のある美しさ。

・梅子   ・・・佐兵衛の三女。

・幸吉   ・・・梅子の夫。小柄で腹黒そう。

・佐智   ・・・梅子の息子。華奢で狡猾そう。

・野々宮珠世・・・佐兵衛の育ての親・野々宮大弐の孫。絶世の美女。

・猿彦   ・・・珠世の召使。

・青沼菊乃 ・・・佐兵衛の最後の愛人。

・静馬   ・・・菊乃の息子。消息不明。

・古舘恭三 ・・・犬神家顧問弁護士。

・若林豊一郎・・・古舘法律事務所所員。

 

 

〇感想

 大富豪の死から始まり、莫大な遺産と不可解な遺言状、一族に隠された秘密、キーパーソンとなる美女。横溝作品の中でも特に名前が知られている本作には、ミステリーの王道的な要素がこれでもかと盛り込まれています。そして、待ってましたとばかりに殺人事件が起こります。スケキヨのマスク姿や湖から突き出した脚など、読んでいない人にも有名なシーンも登場します。恐ろしいはずのシーンですが、イメージが先行してしまっているので純粋な恐怖よりも「あ、見覚えあるシーンだ!」と謎の感動を覚えてしまいました。

 そんな何かが起こりそうな村へやってくるのは、みなさんご存知、金田一耕助です。ヨレヨレの服装に無精ひげを生やし、蓬髪をバリバリと掻きむしる姿は、どちらかと言えば怪しい人物に見えそうです。しかし、中身は自他ともに認める名探偵・・・なのですが、作中ではちょっとした不運や行き違いにより、連続殺人を止めることができないシーンが続きます。事件がすべて終わってからようやく探偵役が動き出すように見えてしまうというのも、ある意味ミステリーではお約束なのですが、金田一耕助シリーズでは特にその感じが強いように思いました。作中でずっと後悔し続けている名探偵というのも、人間味があって面白いですね。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。

『悪魔が来りて笛を吹く』紹介

 こんにちは。

 唐突ですが、私はこれまで金田一耕助シリーズを読んだことがありませんでした。金田一と言えば、人が何人も死んだり、猟奇的な殺人事件があったりと、ホラー的な要素もあることで有名ですね。最近暑くなってきたこともあり、ふと読みたくなりました。

 さて、今回は横溝正史さんの『悪魔が来りて笛を吹く』を紹介します。

 

 

〇あらすじ

 巧みな手口により13人に青酸カリを飲ませた、恐るべき天銀堂事件。その容疑者とされた元子爵の椿英輔氏が失踪を遂げた。しかし死体となって発見されたはずの彼は、実は生きているかもしれないという。彼の娘の美禰子から相談を受けた金田一耕助は、調査に乗り出す。異様な雰囲気の占い会の翌日、玉虫元伯爵が密室の中で殺害されているのが発見される。

 

〇登場人物

・椿英輔  ・・・元子爵。「悪魔が来りて笛を吹く」作曲。失踪。

・秌子   ・・・英輔の妻。

・美禰子  ・・・英輔の娘。

・新宮利彦 ・・・秌子の兄。

・華子   ・・・敏彦の妻。

・一彦   ・・・敏彦の息子。英輔のフルートの弟子。

・玉虫公丸 ・・・秌子の叔父。元伯爵。

・三島東太郎・・・英輔の友人の遺児。

・信乃   ・・・ばあや。

・種    ・・・女中。

・菊江   ・・・玉虫の小間使い。

・目賀重亮 ・・・秌子の主治医。

 

 

〇感想

 本作では本編が始まる前に「これと似た事件があっても関りがない」という旨が、作者によってわざわざ宣言されています。ですが作中で語られる「天銀堂事件」は、ほぼ間違いなく昭和23年に実際に発生した帝銀事件という未解決事件を元ネタにしていると思われます。言葉巧みに青酸カリを飲ませる手口や10人以上が亡くなった点、容疑者とされた人物が無実を主張し続けたまま死亡した点など、事実そのままと言っていいくらい多くの共通点があります。作り話のような実際の事件から着想を得て、壮大な物語を膨らませていったと考えると、作家としての想像力や構成力が見えてきて面白いですね。

 他にも、「悪魔が来りて笛を吹く」と名付けられた曲や落ちぶれた華族の裏事情といった要素が、なんともいえない不気味な雰囲気を作り上げています。実はそこにも隠された秘密があり、終盤で伏線が回収されるのが見事でした。特に最後に待っているオチはこれ以上ないくらいに絶妙でした。オカルト的な要素やありえないような事件を、人間の執念が感じられる結末に着地させていて面白かったです。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。

『獄門島』紹介

 こんにちは。

 唐突ですが、私はこれまで金田一耕助シリーズを読んだことがありませんでした。金田一と言えば、人が何人も死んだり、猟奇的な殺人事件があったりと、ホラー的な要素もあることで有名ですね。最近暑くなってきたこともあり、ふと読みたくなりました。

 さて、今回は横溝正史さんの『門島』を紹介します。

 

 

〇あらすじ

 戦友の鬼頭千万太から妹を託された金田一耕助は、瀬戸内海に浮かぶ獄門島を訪れる。金田一によってもたらされた千万太死亡の知らせに、悲しみに暮れる鬼頭家の人々。しかし金田一の奮闘もむなしく、帯で逆さ吊りにされた花子の死体が発見されてしまう。

 

〇登場人物

・鬼頭千万太・・・本鬼頭の本家。復員船の中で死亡。

・嘉右衛門 ・・・千万の祖父。故人。

・与三松  ・・・千万の父。病気。

・お小夜  ・・・与三松の妾。故人。

・月代   ・・・千万の妹その1。腹違い。

・雪枝   ・・・千万の妹その2。腹違い。

・花子   ・・・千万の妹その3。腹違い。

・勝野   ・・・嘉右衛門の妾。

・一    ・・・分家。復員すると連絡が来る。

・早苗   ・・・一の妹。分家を仕切る。美人。

・儀兵衛  ・・・分鬼頭の旦那。

・お志保  ・・・分鬼頭のおかみ。巴家の娘だった。北国系美人。

・了然   ・・・千光寺の和尚。

・竹蔵   ・・・本鬼頭の塩つくり。

・村瀬幸庵 ・・・漢方医

・荒木真喜平・・・村長。

・鵜飼章三 ・・・元兵隊で、分家に身を寄せる。美少年。

 

〇感想

 本作は、金田一耕助シリーズの中でも特に本格色の強い作品で、個人的には一番満足度が高かったです。もちろん、作りこまれた舞台設定やおぞましい展開といった「お約束」もいつも通り健在です。獄門島では網元が2つの勢力に分かれて争っており、また太平洋戦争による影響が色濃く出ていました。そして、今回はいわゆる見立て殺人と呼ばれる手法が用いられています。死体が帯で吊るされていたり、鐘の中に入れられていたりと、残酷さや不気味さを感じるだけでなく、どうしてそこまでするのだろうという殺害方法になっています。

 ですが、本作ではただ猟奇的なだけでなく、そうした描写の理由付けの部分がかなりしっかりしていました。なるほどと思う部分も多く、伏線も巧みに隠されていました。さらに金田一耕助視点で話が進んでいくため、推理の過程も理解しやすく楽しむことができました。

 ただ怖いだけでなく純粋な推理小説として読みごたえがあって、特に本格推理が好きな人にはおすすめです。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。

『本陣殺人事件』紹介

 こんにちは。

 唐突ですが、私はこれまで金田一耕助シリーズを読んだことがありませんでした。金田一と言えば、人が何人も死んだり、猟奇的な殺人事件があったりと、ホラー的な要素もあることで有名ですね。最近暑くなってきたこともあり、ふと読みたくなりました。

 さて、今回は横溝正史さんの『本陣殺人事件』を紹介します。

 

 

 

〇あらすじ

 かつての宿場の本陣だった一柳家では、当主の賢蔵と久保克子との婚礼が取り行われようとしていた。その新婚初夜となる晩、恐ろしい悲鳴と荒々しい琴の音が鳴り響いた。離家に駆け付けると、夫婦になったばかりの2人が血塗れで死んでおり、しかも現場は密室になっていたのだった。

 

 

〇登場人物

・一柳賢蔵 ・・・長男。一柳家の当主。

・糸子刀自 ・・・先代未亡人。

・妙子   ・・・長女。上海に嫁いでいる。

・隆二   ・・・次男。医師。

・三郎   ・・・三男。退学。

・鈴子   ・・・次女。病弱。

・良介   ・・・賢蔵の従兄弟。分家。

・秋子   ・・・良介の嫁。

・久保克子 ・・・賢蔵の結婚相手。小作人の娘。

・銀造   ・・・克子の叔父。

 

 

〇感想

 名探偵・金田一耕助が初めて登場する本作は、本格ミステリーの王道とも言える”密室殺人”を真正面から扱っています。変わった風習の残る地方の名家が舞台だったり、いかにも怪しげな男がやはり怪しげに現れるなど、金田一耕助シリーズ独特の雰囲気も初作品からあったようです。また、密室の帝王と呼ばれたディクスン・カーなど、有名ミステリー作家の名前がたくさん登場し、推理小説好きの心をくすぐります。本作のトリックもしっかりしており、文章の中に巧妙な伏線が隠されていました。残念ながら私は解けませんでしたが、筆者が読者に直接語りかける感じが某有名作を連想させて面白かったです。

 文庫版では他にも、生き写しの二人の因縁がもたらす惨劇が書簡体形式で語られる『車井戸はなぜ軋る』や、黒猫を看板猫とする黒猫亭で顔のない死体が見つかる『黒猫亭事件』も収録されています。形式に凝っていたり、読者への挑戦を思わせる部分があったりと、メインとなるトリック以外にも読者を楽しませる要素があったのが面白かったです。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。

『八つ墓村』紹介

 こんにちは。

 唐突ですが、私はこれまで金田一耕助シリーズを読んだことがありませんでした。金田一と言えば、人が何人も死んだり、猟奇的な殺人事件があったりと、ホラー的な要素もあることで有名ですね。最近暑くなってきたこともあり、ふと読みたくなりました。

 さて、今回は横溝正史さんの『八つ墓村』を紹介します。

 

 

 

〇あらすじ

 八つ墓明神の伝説が残る村で、田治見家の主人・要蔵が32人もの村人を殺すという大虐殺が発生した。それから20年ほどが経ち、辰弥が八つ墓村に帰ってきた。事件の原因と思われる彼に対し、村人たちは激しい恨みを抱いていた。果たして、辰弥の周囲では警告文の通りに毒殺事件が続くことになるのだった。

 

 

〇登場人物

・田治見要蔵・・・田治見家の主人。32人を虐殺し、行方不明に。

・久弥   ・・・要蔵の息子。病人。

・春代   ・・・要蔵の娘。

・小竹   ・・・要蔵の伯母。

・小梅   ・・・要蔵の伯母。小竹とは双子。

・鶴子   ・・・要蔵の妾。監禁されたが逃亡。

・辰弥   ・・・鶴子の息子。語り手。

・亀井陽一 ・・・鶴子の恋人。隠れて会っていた。

・里村修二 ・・・要蔵の弟。

・慎太郎  ・・・修二の息子。

・典子   ・・・修二の娘。

・森美也子 ・・・野村家当主の義妹。美しい寡婦

・井川丑松 ・・・辰弥から見て母方の祖父。第一の犠牲者。

・新居   ・・・丑松の主治医。

・久野   ・・・医者。新居に患者を奪われ、落ち目に。

 

 

〇感想

 本作は、全体的にかなり陰惨でおどろおどろしい雰囲気に満ちています。冒頭から、8人の落ち武者を村人たちが襲った話や、その襲撃の首謀者の子孫・田治見要蔵が妻子を虐待し、逆上して村人を32人も殺害した話が語られます。本編が始まる前の時点で40人が死んでいるのは、金田一耕助シリーズの中でもトップクラスです。特に、懐中電灯を頭に突き刺したシーンは結構有名ですね。また、本作の語り手となるのは、32人殺しの原因と考えられている辰弥という青年で、村に入るなり怪しげな老婆から「お前のせいで人が死ぬ」と言われてしまいます。その言葉通り、辰弥の周りでは次々と人が死んでいくことになります。彼に対する村人たちの恨みは深まっていき、次は何が起きるのか、読んでいる方も緊張感が高まっていきます。

 一方で、辰弥が女性陣からやたらモテるのも本作の特徴です。都会にもいないような美貌を持つ美也子が辰弥を迎えに来て、村では姉の春代や姪の典子が気のある素振りを見せます。辰弥は辰弥で好意を寄せられてまんざらではない様子です。彼女たちと一緒に逃げ回ったり冒険したりと共に危機を乗り越えていくうちに、それぞれといい感じになります。冒険・青春小説らしい感じは、昔のミステリー作品っぽくない傾向で意外に感じました。ひょっとすると異様な雰囲気の村で殺人が続くことに対するバランスをとったためでしょうか。そのせいか、我らが名探偵の陰が少し薄くなっている気もします。語り手が辰弥であることも相まって、名探偵要素はすこし物足りなかったです。

 たくさん人が死ぬ事件が読みたい、スリルある展開を楽しみたい人にはおすすめです。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。

書き出しをめぐる冒険

 明けましておめでとうございます。

 一年の計は元旦にあり、と言います。今年が良い年になるよう、お正月から良いスタートを切りたいですよね。小説においても初めの一文は重要で、良い書き出しはいきなりその世界観へと引き込んでくれます。

 というわけで、新年一発目のテーマは『書き出し』です。

 今月は、特に有名な書き出しに注目して読んできました。

 

 

〇書き出し

1冊目.『吾輩は猫である』紹介 - 本をめぐる冒険

 吾輩は猫である。 ・・・

 

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2冊目.『こころ』紹介 - 本をめぐる冒険

 私はその人を常に先生と呼んでいた。・・・

 

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3冊目.『坊ちゃん』紹介 - 本をめぐる冒険

 親譲りの無鉄砲で小供のときから損ばかりしている。・・・

 

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4冊目.『檸檬』紹介 - 本をめぐる冒険

 えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。・・・

 

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5冊目.『蜘蛛の糸』紹介 - 本をめぐる冒険

 ある日の事でございます。・・・

 

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6冊目.『鼻』紹介 - 本をめぐる冒険

 禅智内供の鼻と云えば、池の尾で知らない者はない。・・・

 

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7冊目.『羅生門』紹介 - 本をめぐる冒険

 ある日の暮方の事である。・・・

 

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8冊目.『走れメロス』紹介 - 本をめぐる冒険

 メロスは激怒した。・・・

 

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9冊目.『桜桃』紹介 - 本をめぐる冒険

 子供より親が大事、と思いたい。・・・

 

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10冊目.『人間失格』紹介 - 本をめぐる冒険

 私は、その男の写真を三葉、見たことがある。・・・

 

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11冊目.『舞姫』紹介 - 本をめぐる冒険

 石炭をば早や積み果てつ。・・・

 

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12冊目.『蟹工船』紹介 - 本をめぐる冒険

 「おい地獄さ行ぐんだで!」・・・

 

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13冊目.『雪国』紹介 - 本をめぐる冒険

 国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。・・・

 

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〇感想

 書き出しの巧いというのは、その作者の「親切」であります。

太宰治『女の決闘』

 漱石に芥川、太宰に川端康成。有名な書き出しを集めてみたら、当然ながら文豪たちの作品ばかりになりました。今回、名文と呼ばれる書き出しを自分なりに分析すると、一つの共通点がありました。それは、非常に論理的な文章構成であるということでした。まず一文目はすべて短い一文になっています。ここは「つかみ」としての意味合いが大きく、シンプルかつ特徴的な言葉で読者の興味を惹きつけます。正直、一文目だけでは状況がよく分からないことが多かった気がします。具体的な情報は二の次で、抽象的な短文で作品の雰囲気を作っておく、といった印象でした。そして、細かな説明はその後に続く文章で付け加えられていきます。つかみがしっかりしていると、そのあとに続く情報もすんなりと入って来るようになります。論理的な説明がうまい人は、よくこういった話し方をしますよね。抽象⇒具体化という構成は、今回読んできたどの作品にも当てはまっていました。一般に感性が必要と思われる小説ですが、いい文章には論理的な構造が必要になるようです。翻って自分の書いた記事を改めて見ると、ついつい長い文章を書いてしまっているのが分かってしまい、恥ずかしい限りです。

 また、今回は内容や文章の感想だけでなく、当時の情勢や文化を今から見たらという観点でも読んでみました。古典作品は私たちが生まれるずっと前から読み継がれていて、感想もすでに出尽くしています。そこで、少し変わったことに挑戦してみました。うまくいったかは分かりませんが、今とは時代が違って退屈に感じる古典小説も、あえて現代と比べてみることで分かることがあるかもしれません。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。