本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

『バッテリー』紹介

 こんにちは。

 突然ですが、秋と言えばスポーツの秋!気持ちのいい秋空に過ごしやすい気温、身体を動かすにはもってこいの季節になりました。

 と言うわけで、10月のテーマは『スポーツ』です。

 全国高等学校野球連盟によると、令和4年の硬式野球部の部員数は全国で13万1259人でした。高校生全体では約300万人なのでおよそ4%、つまり23人に1人が野球部に所属していることになります。近年は惜しくも部員数1位の座はサッカーに明け渡してしまいましたが、日本ではまだまだ根強い人気があります。特に春夏の甲子園は毎年注目されますね。

 さて、今回はあさのあつこさんの『バッテリー』を紹介します。

 

 

〇あらすじ!

 ピッチャーとして圧倒的な才能と絶大な自信を持つ巧は、雪と新緑の混じる新田市に引っ越してきた。ランニングを始めるが途中で道に迷い、大柄な少年・豪に出会う。豪のつかみどころのない性格にいらつく巧だったが、豪は巧の投げる速球を5球で捕まえてみせる。

 

〇感想!

 本作の見どころとしては、やはり原田巧という主人公が持つ、児童文学らしからぬプライドの高さが真っ先に挙げられます。巧は誰にも自分の思ったことを話さず、常に周囲に対してイライラしています。初めて会う豪や大人たち、息子である自分のことをよく知らない父に辛らつな言葉を投げかけ、自分に憧れる病弱な弟にも容赦ありません。その傲慢さはとても少し前までランドセルを背負っていたとは思えないほど。普通だったら主人公のライバルや敵役になりそうな性格ですね。敵役なら試合を経て熱血主人公に感化されているところでしょうが、そこは主人公だけあって簡単には折れません。むしろ誇り高さを貫いてほしいくらいです。

 ですが、巧はプライドの高さを補って余りある野球の才能の持ち主でもあります。その才能は豪や元野球部の大人たちを魅了し、周囲を動かしていきます。スポーツの世界では、やはり実力があることが物を言います。圧倒的なプレイはただ見ているだけで心が動きます。不思議なことに、全く知らない分野であっても、うまいプレイというのは誰が見ても美しく見えますよね。「うまい」だけじゃなくて「美しい」と感じるのは、

 『バッテリー』シリーズは全6巻、スピンオフとして『ラスト・イニング』という作品もあります。実は昔読んだことがあるはずなのですが、恥ずかしながら全然内容を覚えていませんでした。大人になってから読み返すとまた見方が変わっているのも面白いですね。これから巧が高すぎるプライドを守れるのか、それに対して豪がどう行動するのか、楽しみです。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。