本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

『アイ・アム・レジェンド』紹介

 こんにちは。

 早いもので今年ももう12月。2022年もまもなく終わろうとしていますね。みなさんにとって、今年はどんな年でしたか。

 11月には、『すずめの戸締まり』『母性』『ある男』といった映画の原作小説の売れ行きが好調でした。映画館の大きなスクリーンで見るのももちろんいいですが、文字から自分であれこれ想像するのも、小説ならではの楽しみ方ですね。

 今年も色々ありましたが、なるべくやり残したことのないように年の終わりを迎えたいですね。

 というわけで、今月は「世界の終わり」をテーマに本を読んでいきたいと思います。

 さて、今回はリチャード・マシスンさんの『アイ・アム・レジェンド』を紹介します。

 

 

〇あらすじ

 ロバート・ネヴィルは自宅に立てこもっていた。にんにくを取り換え、杭を作り、「奴ら」の襲撃に備える。1976年、彼は地球で最後の人間だった。

 

この小説は迷信や陳腐なソープ・オペラの寄せ集めだが、この台詞は真実を突いていた。吸血鬼を信じる者が誰もいないのに、それを相手にどう戦えばいいのだろう?

 

〇感想

 本作では、ある病原体により世界が終わります。それに感染した者は、他の人間に襲いかかり、血を吸うようになってしまいます。「奴ら」に対処するには、にんにく、十字架、鏡、日光などで弱らせて、胸に杭を打ち込む必要があります。みなさんお察しの通り、世界中の人間が吸血鬼になってしまったのでした。こうして挙げていくと、吸血鬼の弱点は多いですね。主人公のロバート・ネヴィルはたった一人生き残った「人間」として、この地獄のような世界で生き残ろうとします。実は本作は1954年に刊行された古いもので、現代作品に吸血鬼を取り込んだ最初の作品なのだそうです。

 本作を読んで感じたのは、すごく映画っぽいなということでした。映像化を意識して書かれているのか、動く絵として見たら映えるようなシーンが多かった気がします。俳優やカメラワークを想像しながら読むとより面白そうです。これが1954年に書かれたとはちょっと驚きですね。著者のマシスンさんは脚本家でもあったそうで、本作も実際に何度も映画化されています。その度に原作小説も再翻訳され、タイトルも『吸血鬼』『地球最後の男』『アイ・アム・レジェンド』と変わっています。私が読んだのは尾之上浩司さん訳の2007年版でしたが、古さを感じさせない現代的な表現で一気に読んでしまいました。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。