本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』紹介

 こんにちは。

 早いもので今年ももう12月。2022年もまもなく終わろうとしていますね。みなさんにとって、今年はどんな年でしたか。

 12月には、日販による今年のベストセラーが発表されました。

順位 書名 著者 出版社
1 80歳の壁 和田秀樹 幻冬舎
2 人は話し方が9割 永松茂久 すばる舎 
3 ジェイソン流お金の増やし方 厚切りジェイソン ぴあ
4 20代で得た知見 F KADOKAWA
5 同志少女よ、敵を撃て 逢坂冬馬 早川書房 
6 メシアの法 大川隆法 幸福の科学出版
7 898ぴきせいぞろい!ポケモン大図鑑(上・下)           小学館
8 70歳が老化の分かれ道 和田秀樹 詩想社
9 本当の自由を手に入れる お金の大学 両@リベ大学長 朝日新聞出版
10 私が見た未来 完全版 たつき 飛鳥新社

 2022年に一番売れたのは、和田秀樹さんの『80歳の壁』でした。他にもお金や生き方に関するものが多く、将来に向けての不安を和らげてくれるような本が売れているみたいです。小説からは、本屋大賞を受賞した『同志少女よ、敵を撃て』や、17位に東野圭吾さんの『マスカレード・ゲーム』がランクインしていました。

 今年も色々ありましたが、なるべくやり残したことのないように年の終わりを迎えたいですね。

 というわけで、今月は「世界の終わり」をテーマに本を読んでいきたいと思います。

 さて、今回は村上春樹さんの『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を紹介します。

 

 

〇あらすじ

 計算士の私は、老研究者の依頼を受けて、禁止されていたシャフリングを行った。それを機に巨大な組織同士の争い、そして世界の終わりに巻き込まれることになる。

 街に入るときに影と切り離された僕は、図書館で古い夢を読む仕事を与えられる。その一方で街の地図を作りながら、影と共に脱出のチャンスを伺っていた。

 

 どうやら私の眠りはひどく安い値段で競売にかけられているようだった。みんなが中古タイヤの具合をためすみたいに私の眠りを蹴飛ばしていくのだ。

 

〇感想

 本作では、ジャンクションが切り替わったことにより世界が終わります。(私の力不足により説明が難しいので、ぜひ読んでみてください。)本作は2つの物語が交互に進んでいく形で進行します。一つは中年の男が抗争や陰謀に巻き込まれるSFチックな「ハードボイルド・ワンダーランド」、もう一つは閉じられた街を舞台とした幻想的な「世界の終わり」です。2つの物語が交互に語られる構成は、村上春樹さんの他の長編作品にも使われています。

 一見対照的で関係なさそうなストーリーですが、注意深く読むとペーパークリップや一角獣などの共通点が見えてきます。さらに読み進めていくうちにだんだんと話が繋がってくるのが不思議で面白いです。その「なんとなく見えてくる」感覚が楽しくて、本作は何回も読み返すくらいに好きな作品です。読みやすいのに内容を理解するのは難しく、もしかしたら分からないからこそまた読みたくなるのかもしれません。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。