本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

『終末少女』紹介

 こんにちは。

 早いもので今年ももう12月。2022年もまもなく終わろうとしていますね。みなさんにとって、今年はどんな年でしたか。

 6月には、テレビドラマ『シャーロック』の映画版である『バスカヴィル家の犬』が公開され話題となりました。ホームズの4つの長編の中でも人気のある作品で、火を吐く魔犬は映像的にもかなりインパクトがありそうですね。

 今年も色々ありましたが、なるべくやり残したことのないように年の終わりを迎えたいですね。

 というわけで、今月は「世界の終わり」をテーマに本を読んでいきたいと思います。

 さて、今回は古野まほろさんの『終末少女』を紹介します。

 

 

〇あらすじ

 灼けつくような太陽、木の匂いが香る木造校舎、そして残された7人の少女たち。黒い沼に覆い尽くされる世界とは無縁のような孤島に、8人目の少女が流れ着く。

 

「バケモノを駆除するのが、私の使命よ。たとえそれが、仲間であろうと何であろうと。」

 

〇感想

 本作では、黒い沼により世界が終わります。どろどろとした黒い沼は触れると激痛が走り、存在自体が侵されていくというような表現が使われています。さらに、口のようなものによって世界が食われていくなど、描写からはダークファンタジーらしいハードな世界観が見えます。一方、普段は考えていることがすぐに伝わる、鉛筆のような簡単なものだけなら思い浮かべるだけで出現する、いつもよりも重い躯という設定からは、SFのような雰囲気も感じます。また、7人の少女たちの見た目や才能についての描写が多く、序盤を読んだ段階ではそういうラノベっぽい感じなのかしらと思っていました。

 果たしてこれで本格ミステリーとして成り立つのだろうかと不安になりますが、作中では最初に犯人当てのルールを説明し、中盤では嘘吐きのロジック(勘違いは嘘になるのかなど)に触れ、最後には懐かしの「読者への挑戦」まで挟まるなど、要所要所は確かにミステリーです。そして怒涛の解決編を読み終えたときには、本作が本当に本格ミステリー作品であると納得していました。特に最後のどんでん返しは全くの予想外で、よくこんなことが思いつくなと感心してしまいます。あまり他では見ないタイプだと思うので、不安があってもなんとか最後まで読み進めてほしい作品でした。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。