本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

『地上最後の刑事』紹介

 こんにちは。

 早いもので今年ももう12月。2022年もまもなく終わろうとしていますね。みなさんにとって、今年はどんな年でしたか。

 5月には、テレビアニメ化した漫画『SPY×FAMILY』が爆発的な人気となりました。最近は『鬼滅の刃』をはじめ、普段アニメを見ない人にも人気になるパターンが多いような気がします。

 今年も色々ありましたが、なるべくやり残したことのないように年の終わりを迎えたいですね。

 というわけで、今月は「世界の終わり」をテーマに本を読んでいきたいと思います。

 さて、今回はベン・H・ウィンタースさんの『地上最後の刑事』を紹介します。

 

 

〇あらすじ

 小惑星の衝突が予告され、街では首吊り自殺が流行る中、パレスは憧れの刑事になったばかりだった。ファストフード店のトイレで死体が見つかり、皆が自殺だと決めつけるが、パレスは調査を続ける。生前のピーター・ゼルは、小惑星について詳しく調べていた。

 

アンドレアス刑事、興味を持てるような事件の捜査はしていないんですか?」

 

〇感想

 本作では、小惑星の衝突により世界が終わります。小惑星パターンだと、残された時間をどう過ごすのかがテーマになることが多いようです。多くの人が仕事を辞めてやり残したことをやりたいと思い立つ中、念願の刑事になったばかりの本作の主人公は、一見自殺としか思えない事件に深入りして調べていきます。世界の終わりが現実的になり、絶望した人々が次々と自殺し、街の治安は最悪でした。ストーリー上でも、捜査をするうちに暗い過去が明かされたり、新しい悲劇が起こったりと、なんともやるせない展開が続きます。さらに、同僚たちは真面目な主人公に対して常に皮肉を言い、しかも重要な場面で余計なことを口走るなど足を引っ張ってくれます。世界の終わりという状況も相まって、どん詰まりのような独特の雰囲気を味わえました。そんな中でも、主人公は何かに突き動かされるように事件を追いかけます。

 また、個人的には最後に明かされる犯人の動機が印象に残りました。普通ならそこまで珍しくもない動機なのですが、世界の終わりということを考え合わせるといつもよりも切ない気分になります。事件自体は作中できれいに解決しますが、エピローグではかなり思わせぶりな展開で終わります。本作は『カウントダウン・シティ』、『世界の終わりの七日間』と続いてくシリーズの第一作目に当たるようです。世界はどんな終わり方をするのか、そしてこの物語はどんな結末を迎えるのか。時間があるときに続きを読んでみたいですね。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。