こんにちは。
「秋と言えば」シリーズ、最後はもちろん読書の秋。10月27日~11月9日は「読書週間」でもあります。本を読むのにぴったりの秋の夜長には、せっかくなら「本についての本」を読むのはいかがでしょうか。
というわけで、今月は『読書』にまつわる本を読んでみました。
書物は我々のうちなる凍った海のための斧なのだ。
フランツ・カフカ(現在のチェコ出身の小説家/1883-1924)
〇本についての本
本を通じた出会いや別れといった人間関係を描いた短編集。登場人物たちの抱える問題にちょっと考えさせられて、しかもさくっと読めます。
戦前の文豪たちも通った帝国図書館を主人公とした長編小説。喜和子さんの重い過去と、ユーモアあふれる図書館の話のアンバランスさがまた面白かったです。
資格を持たない学校司書が、本を通していろいろな出会いを経験していく短編小説。日常の謎を解く優しいミステリーでもあります。
本を読む自由が制限された世界で、本を守るために戦う図書隊員たちの奮闘を描いた長編小説。アクションあり、恋愛ありです。
主人公たちファイアマンが徹底的に本を燃やすディストピア世界を描いた、アメリカのSF小説。抵抗の仕方がちょっと面白いです。
少年が失恋や本を守る戦いを通して成長していく、スペインの小説。「忘れられた本の墓場」という世界観がカッコいいです。
いじめられっ子の少年が物語の世界へ入り込む、ドイツの児童文学。いつの間にか読者も世界観へ引き込まれています。
本の世界が現実の方を侵食していくファンタジックな長編小説。懐かしいアニメ映画のような雰囲気でした。
哲学とトランプを題材とした、ノルウェーの長編小説。ファンタジー要素や言葉遊びが不思議の国のアリスを思い起こさせます。
10冊目.『太宰治の辞書』紹介 - 本をめぐる冒険
社会人となり母となった私が、円紫さんたちと再会をしながら文学の旅を続ける中編小説。私もここまで深く本を読みたいものです。
同名のタイトルのいわくつきの本をめぐって、様々な物語が繰り広げられる長編小説。面白い本だと匂わせられると読んでみたくなります。
12冊目.『本を読むひと』紹介 - 本をめぐる冒険
ジプシーと図書館員の交流を描く、フランスの長編小説。現代のジプシーが直面している問題について知るきっかけにもなります。
下町で古本屋を営む大家族を描く、懐かしいホームドラマ的な短編小説。日常ミステリー。大家族の騒がしい朝食シーンがお気に入りです。
14冊目.『薔薇の名前』紹介 - 本をめぐる冒険
中世の僧院で起きた連続殺人と、文書館に隠された謎に挑む、イタリアの長編小説。印刷技術のない写本の時代では、本の重要性も今とは違ったのかもしれません。
〇感想
本を題材とした小説は、思った以上にたくさんありました。そのため、今回は読むものを選ぶだけでも一苦労でした。やはり本というものは作家にとって特別な存在であるようです。内容的にも、入れ子構造のようになっていたり、作中に同じタイトルの本が登場したりと、読者の存在を想定したようなメタフィクション的な工夫が凝らされている作品がいくつもあったのが面白かったです。特に『はてしない物語』には、現実の読者を物語の世界に引き込む力があったと思います。岩波少年文庫だと実物の本の装丁が、作中の『はてしない物語』に近いあかがね色の見た目になっているというのがまたお洒落です。
また、発見だったのは、いろいろな国に「本についての本」があったことでした。今回読んだ中でも、アメリカ、スペイン、ドイツ、ノルウェー、フランス、イタリアと様々な国がありました。本というものが国境を越えて親しまれていることがよく分かります。そして、どの国でも本は特別なものとして扱われています。書かれる言語が違っても、本に対する思いは変わらないのかもしれませんね。個人的には、『風の影』の世界観がかっこいい上に、常に先が気になる感じで面白かったです。
今回読めなかった本についての本もまたいつか読んでみたいですね。
ここまで読んでくださってありがとうございました。