本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

『ペダリング・ハイ』紹介

 こんにちは。

 突然ですが、秋と言えばスポーツの秋!気持ちのいい秋空に過ごしやすい気温、身体を動かすにはもってこいの季節になりました。

 と言うわけで、10月のテーマは『スポーツ』です。

 全国高等学校体育連盟によると、令和4年の自転車競技部の部員数は男子が1503人、女子が149人でした。高校生全体では約300万人なのでおよそ0.05%、だいたい1800人に1人が自転車競技部に所属していることになります。自転車と言えば身近な乗り物ですが、ロードバイクにはまた違った魅力があります。

 さて、今回は高千穂遙さんの『ペダリング・ハイ』を紹介します。社会人の自転車競技サークルに入った大学生がロードバイクの魅力にのめりこんできます。

 

〇あらすじ!

 大学進学で上京した竜二は、伯父から錆びだらけのクロスバイクをもらう。持ち込んだ調布の自転車屋で自転車の社会人チームに出会い、彼らに乗せられて乗ったロードバイクの加速に魅せられる。FELTのFR30というロードバイクを購入し、調布ゴブリンズに期待の新人として迎えられることになる。

 

〇感想!

 ロードバイクはママチャリと違って「速く走る」ことに特化しており、不要なものをすべて取り除いたようなシンプルさと自分の肉体がエンジンとなるのがカッコいいですね。自転車競技はチームスポーツでもあり、エースを勝たせるために集団を形成したり温存する作戦を立てたりするのは初めて知りました。また、作中では調布周辺の地名が多く登場するので、知っているとより楽しめそうでした。

 本作に登場するチームのおじさんたちがとにかく素敵でした。学校の部活における年の近い者同士の空気感もいいのですが、年齢を重ねた人間ならではの丁寧さや包容力といったものも大変魅力的でした。偶然会っただけの竜二をロードバイクに誘った責任があると、リーダーの塩山さんを中心にしっかりした指導をしてくれますし、一つ一つ理由を説明してくれるのも竜二を一人前扱いしてくれている感じがしました。もちろん交通ルールもきちんと守ります。制約の中で真剣に努力し、かつ最大限楽しむ感じは流石大人ですね

 ここまで読んでくださってありがとうございました。