本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

『ラブオールプレー』紹介

 こんにちは。

 突然ですが、秋と言えばスポーツの秋!気持ちのいい秋空に過ごしやすい気温、身体を動かすにはもってこいの季節になりました。

 と言うわけで、10月のテーマは『スポーツ』です。

 全国高等学校体育連盟によると、令和4年のバドミントン部の部員数は男子が6万9065人、女子が5万6227人でした。高校生全体では約300万人なのでおよそ4%、だいたい24人に1人がバドミントン部に所属していることになります。日本では世界と戦える若手の育成に力を入れており、最近目覚ましい活躍していますね。そのためか、高校の部員数でも、サッカー、バスケ、野球に次ぐ第4位に輝いています。

 さて、今回は小瀬木麻美さんの『ラブオールプレー』を紹介します。高校生が仲間たちと成長していく、直球のバドミントン小説です。

 

 

〇あらすじ!

 美人の先輩目当てに入部した亮だったが、バドミントンの面白さに目覚め、いつの間にか真剣に練習に取り組むようになった。そんな亮に横浜湊高校からスポーツ推薦の話が来る。息子の進路に興味がないと思っていた両親は亮に真剣に忠告し、成績優秀な姉はもっと熱くなれと言う。高校の練習では、榊や松田といった同年代の子と切磋琢磨していく。

 

〇感想!

 主人公は最初こそ美人の先輩に釣られて入部しましたが、途中からはバドミントンそのものが好きになり、真剣に取り組むようになりました。同じくバドミントンが好きな仲間たちと出会い、共に成長していきます。1巻しか読んでいませんが、主人公は終始前向きで、仲間たちもいいヤツばかりなので暗い展開になることもなくサクサクと進みます。恋愛的な要素も非常にあっさりしており、まさにバドミントン漬けの高校生そのものといった感じでした。

 仲間の一人に輝という子が登場します。バドミントン自体は初心者なので試合には当分出られませんが、作中では選手や対戦相手を的確に分析し、高校生離れしたコーチングを発揮します。交渉力もあって、大人相手にも落ち着いて論理的に意見を述べることができ、作中の誰からも信頼されています。先輩たちの引退後は経験者を差し置いて部長を務めているという描写もあります。彼はいったい何者なのでしょうか。

 本作を読んで感じたのは、バドミントンはとにかく相手の嫌がることをするスポーツだということです。相手が怪我をしていれば徹底的にそこを攻め、ダブルスなら弱い方を叩きます。時には声や態度で自分を強く見せたり、相手を揺さぶったりすることもあります。対戦相手のいるスポーツなので心理的な駆け引きの要素はもちろん重要ですが、本作では特に強調されていたと思いました。それ自体は別に卑怯なことではなく、むしろ手加減をする方が相手を侮ることになってしまいます。それくらい全力で真剣にバドミントンに向き合っているとも言えます。「相手がいる」ということがバドミントンの面白さの本質なのかもしれませんね。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。