本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

『2.43 清陰高校男子バレー部』紹介

 こんにちは。

 突然ですが、秋と言えばスポーツの秋!気持ちのいい秋空に過ごしやすい気温、身体を動かすにはもってこいの季節になりました。

 と言うわけで、10月のテーマは『スポーツ』です。

 全国高等学校体育連盟によると、令和4年のバレー部の部員数は男子5万967人、女子5万5584人でした。高校生全体では約300万人なのでおよそ3%、だいたい30人に1人がバレー部に所属していることになります。運動部としては珍しく男子よりも女子の方が人数が多いみたいですね。

 さて、今回は壁井ユカコさんの『2.43 清陰高校男子バレー部』を紹介します。日本ではテクニック重視でラリーが続きやすい女子バレーの方が人気ですが、男子バレーのスピードとパワーのぶつかり合いはやはり圧倒的な迫力があります。

 



 

〇あらすじ!

 とげとげしい態度だが熱心にバレーに打ち込む灰島が転校してきて、ろくに練習もしなかった黒羽たち弱小バレー部もやる気を出す。意気込んで挑んだ県大会第二試合、緊張で動けない黒羽を無視するように、灰島はたった一人で試合を決めてしまう。黒羽は次の試合をさぼってしまうが、試合は惨敗。灰島とも決定的な亀裂が生まれてしまう。

 

〇感想!

 2メートル43センチとは、高校男子バレーの全国大会・春高でのネットの高さです。電話ボックスの高さが2メートル25センチだそうなので、選手たちはそれよりも遥かに高く飛び上がってスパイクを決めたりブロックを飛んだりすることになります。テレビでは上からのアングルが多いですが、実際にその場で見たら見上げるような空中戦が繰り広げられていることが分かります。1メートル以上のジャンプを試合中に何十回とするのもよく考えればすごいことですね。

 本作は、中学時代にとげとげしい性格の天才セッター・灰島公誓が転校してくるところから物語が始まります。灰島は前の学校でも他のバレー部員と衝突を繰り返しており、激しく口論した部員が自殺未遂したことがトラウマとなっていました。黒羽が軽率に試合をさぼったことにより、灰島はバレー部に来なくなってしまいます。以上が中学時代の黒羽視点から語られ、続いて高校の女子バレー部荊視点、男子バレー部小田視点を挟んで、高校時代の黒羽視点に戻ってきます。中盤ではその後灰島がどうなっているのか断片的にしか語られないという、ちょっと焦らされる構成になっています。どの視点でも、ちょっとした意地の張り合いや思い違いから傷つけたり、傷つけられてしまいます。それでもバレーを通じて分かり合っていくというのが高校生の青春らしかったです。先輩たちも面倒見がよく、チームスポーツの良さみたいなものがよく描かれていたと思います。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。