『江戸のジャーナリスト 葛飾北斎』紹介
こんにちは。
もうすぐ待ちに待った夏休み!夏休みと言えば、宿題の定番である読書感想文!
とは言え、あらためてまとまった文章を書くのはなかなか大変ですよね。ついつい後回しにして、最後に泣く泣くやることになるのはよく聞く話です。元学生の方には、今となっては懐かしい思い出かもしれませんね。
というわけで、今月は今年(2022年)の課題図書に指定されている作品を読んでいきます。今回は千野境子さんの『江戸のジャーナリスト 葛飾北斎』を紹介します。中学生向けの一作となります。
〇あらすじ
新しいパスポートや新・千円札にも使われる葛飾北斎。あらゆることに好奇心や探究心を持つ一方、人間や社会を冷静に見る観察眼もある。そんな人間・北斎を探っていく。
〇私なりの感想文
葛飾北斎と言えば、歴史の授業で習った人で、『富嶽三十六景』くらいは聞いたことがあるかも。正直に言って葛飾北斎に対する私のイメージはそれくらいでした。
本書では北斎の来歴を辿りつつ、彼の残した作品から「人間・北斎」を考察していきます。子供時代に奉公に行っていた貸本屋で本の挿し絵を見て学んでいたことは知りませんでしたし、若い頃に入門した勝川春章から破門されて苦しい時代を過ごしたことは意外でした。北斎の有名な作品は晩年のものが多く、『富嶽三十六景』も72歳の作品なのだそうです。美術のことはあまり詳しくないのですが、苦しい時も歳をとってからも常に絵を描き続けたのはすごいと思います。一つのことに対して生涯にわたって変わらず情熱を持ち続けるのは、単純なようでなかなかできることではありません。
北斎の作品は遥かヨーロッパの地に渡り、マネやゴッホといった印象派の画家たちに大きな影響を与えました。北斎のタッチや構図を取り入れた作品が生み出され、そうした日本文化の流行はジャポニズムと呼ばれることとなります。雑誌LIFEの『この1000年で最も偉大な業績を残した100人』という企画では、北斎が日本人として唯一選ばれているそうです。世界で高く評価されている北斎について、地元である日本人があまり知らないというのもおかしな話ですね。
本書で物足りないと思ったことは、肝心の絵が載っていないことです。せっかくなるほどと思ってもいちいちネットで検索しなくてはならないのは、やはり手間がかかります。もちろん著作権や出版の都合はいろいろあると思いますが、そこがもったいないと思いました。
ひさしぶりに美術館に行きたくなる一冊でした。
ここまで読んでくださってありがとうございました。