本をめぐる冒険

読んだ本の感想などを書いてみるブログ。

『風の神送れよ』紹介

 こんにちは。

 もうすぐ待ちに待った夏休み!夏休みと言えば、宿題の定番である読書感想文

 とは言え、あらためてまとまった文章を書くのはなかなか大変ですよね。ついつい後回しにして、最後に泣く泣くやることになるのはよく聞く話です。元学生の方には、今となっては懐かしい思い出かもしれませんね。

 というわけで、今月は今年(2022年)の課題図書に指定されている作品を読んでいきます。今回は熊谷千世子さんの『風の神送れよ』を紹介します。小学校高学年向けの一作となります。

 

 

 

〇あらすじ

 ぼくの住んでいる地域には、コトの神という疫病神を送り出す「コト八日」という伝統行事があった。それは計画から実行まですべてを子供たちだけでやる行事で、新型コロナが流行した今年は特にしっかりやるように期待されていた。だが、ぼくは神様が本当にいるのか疑問に思っていた。都会から越してきた宇希の事情を聞いたり、柚月のおじいちゃんが事故に遭ったりしたことでぼくもやる気になっていく。しかし、本番直前で頭取の陵さんが骨折してしまい、代理として僕がリーダーをやることになる。

 

〇私なりの感想文

 本作は、実際に長野県のある地区で行われてる行事を題材にしていて、筆者の熊谷さんは現地で取材して書かれたそうです。そのため行事の内容もかなり詳細に記されています。少子化や過疎化の影響でこうした伝統行事がだんだんと姿を消していく中、こうして本という形で残しておくのも一つの方法なのかもしれません。実は、現実では新型コロナの影響で2021年度の「コト八日」は自粛になったのだそうです。熊谷さんはせめて創作の中だけでもやらせてあげたいと思って執筆したとのこと。なんかいい話ですね。

 主人公の「ぼく」ですが、冒頭では地域行事なんてと面倒くさがって休もうとします。真面目にやれと周りに言われると逆にやる気がなくなる気持ちも、思春期ならではといった感じですごく共感できました。なぜこんな面倒な行事があるのか。計画からすべて子供だけでやるというのは伝統行事の中でもかなり珍しく、もちろん危険もあります。宇希が転校してきた事情を知り、おじいちゃんが事故で意識不明になったことで落ち込む柚月を心配し、コト八日に真剣に取り組む陵さんを見て、「ぼく」も変わっていきます。昔は本当に病気に対して祈るしかなかったために行われていたコト八日でしたが、今では子供たちに地域の一員としての自覚を持たせるためという側面が強くなっていました。それはまさに「ぼく」の変化そのものでした。

 もし感想文を書くなら、自分たちの地域の伝統に対して「なぜ?」を考えるといいのかなと思いました。「ただ昔から行われているから」だけだと、どうしても面倒くささの方が勝ってしまいます。なんでこの行事が長年行われてきたのか?を自分なりに考えてみることで、一見つまらない行事にも新しい発見があるかもしれませんし、それが興味や好奇心を持つことにもつながります。せっかくやることなら楽しみながらの方がいいですよね。うまくいけば、読書感想文だけでなく自由研究になるかも?

 ここまで読んでくださってありがとうございました。