本をめぐる冒険

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今読んでも面白い、まさに不朽の名作『風と共に去りぬ』紹介(ネタバレなし)

 こんにちは。

 この記事はマーガレット・ミッチェル作『風と共に去りぬ』の紹介記事です。

 ネタバレなしで書いていきたいと思います。

 

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Michal JarmolukによるPixabayからの画像

〇どんな本?

 南北戦争時代のアメリカを舞台に主人公スカーレット・オハラの半生を描いた長編小説です。

 タイトルだけなら聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。映画も大ヒットし、インフレを除いた興行収入では歴代トップを記録しています*1。日本でも何度も舞台化されています。

 作者のマーガレット・ミッチェルが唯一出版した小説で、自身の体験も織り交ぜて描かれているそうです。

 全5巻なのでかなり長い物語になります。

*1:https://www.boxofficemojo.com/chart/top_lifetime_gross_adjusted/?adjust_gross_to=2020&ref_=bo_cso_ac

〇あらすじは?

 タラの大農園の娘として生まれたスカーレット・オハラは、周囲の男たち皆を引き寄せる魅力と父親譲りの激しい気性の持ち主。自分とは真逆の、教養と落ち着いた性格を持つアシュレに心惹かれるが、彼がいとこのメラニーと結婚することを聞きショックを受ける。パーティーでアシュレの気を引こうとするも断られ、癇癪を起こしたところをレット・バトラーに見られてしまう。そのまま憎しみのあまりメラニーの兄チャールズからの求婚を受け入れてしまうのだった。

〇ここからが面白い!

 最初の頃は状況説明がちょくちょく入るうえに登場人物がたくさんいて、いかにも海外小説といった感じです。

 ですが、バーベキューパーティーに行くシーンからスカーレットの独壇場となります。愛するアシュレの気を引こうと計画を練り、忙しく準備を開始します。一度こうしようと思い立ったときのスカーレットの行動力はすさまじく、読んでいるだけでこちらまでわくわくします。

 実際、パーティーでは周りの男たちをすべて独占し、主役のように振舞います。しかしアシュレは婚約者のメラニーのそばを離れず、スカーレットの求愛もはねのけてしまいます。可愛さ余って憎さ百倍、自暴自棄となった彼女は感情的になり、当て馬としてチャールズと結婚してしまいます。

 こうした感情の振れ幅こそがスカーレットの魅力だと思います。愛情に満ちた魅力的な女性として振る舞う一方、心の中では相手を見下していて常に自分の利益になるように知恵を働かせています。普通に考えれば嫌な人間ですが、ここまでギャップを見せてくれると逆に痛快な気がします。現代の感覚からすると受け入れがたい部分もありますが、逆に共感できる部分もありました。人間の嫌な面をこんなにもはっきりと見せてくれる主人公は逆に貴重なのではないのでしょうか。

 少なくともパーティーのシーンまではぜひ読んでみてほしいです。スカーレットが積極的に動くようになってからが物語の本番です。第2部では南北戦争がはじまり、スカーレットを取り巻く環境も大きく変わっていきます。物語としてもさらに面白くなっていきます。5巻全て読み終わったときは普段は味わえない達成感が味わえるはずです。

 ここまで読んでくださってありがとうございました。